国のビジネスチャンスは無限にあるが、それを生かすも殺すもリーダーシップ次第だ。しかし、役人には悲しいほど商才がない。14億円で売却した近接地とほぼ同じ広さの土地を実質200万円で売り渡した森友学園問題の例を見ても、いかに彼らにビジネスセンスがないかよくわかる。
日本は1990年以降ほとんど成長しておらず、この先の舵取りを官僚に任せるだけでは国は沈没してゆく。だが政治がリーダーシップを取って国民を重税感から解放する道筋を示せば、世の中が明るくなって景気を好転させるはずだ。
無税国家という壮大な理想を掲げ、様々なアイデアを実行する勇気こそ、今の日本に必須なのである。
【PROFILE】森永卓郎●1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。日本専売公社勤務時代に経済企画庁に出向。UFJ総合研究所などを経て現在、獨協大学教授。『消費税は下げられる!』(角川新書)ほか著書多数。
※SAPIO2017年5月号