その他にも、朝鮮戦争に起因する物資特需は、土嚢用の麻袋や軍服需要が生まれた繊維織物類、橋梁用鉄鋼材や有刺鉄線などの金属類、トラックや乾電池などの機械類、戦場用の歯ブラシや石けんなど多岐にわたった。街頭に山のように積まれた戦災後の焼けトタンがなくなり、くず鉄もすべて買い上げられたという。
米軍特需は1950~1951年に約6億ドル、1952年、1953年ともに約8億ドルに及んだとされている。これは当時の日本の国家予算の3割にあたる額である。
それから70年近く経った現代において、朝鮮半島情勢の緊迫は、日本経済に何をもたらすのか。マーケットアナリストの平野憲一氏はこうみる。
「すでに上昇している防衛関連銘柄は、時価総額が100億円以下の小型銘柄でした。しかし、もっと大型の防衛関連銘柄に買いが入ってきている。兆候として、時価総額約440億円の日本無線の株が上昇傾向を見せています。
防衛関連の無線通信機器を扱う企業で、小型銘柄の値上がりが先行して割高感の出たところで、もう一段大きな関連銘柄に買いが入っている。不確定要因は多いとはいえ、この流れで今後、三菱重工やIHIなどの防衛関連大型株が買われていく可能性も考えられます」
市場への影響は、短期的なものに止まらないとする見方もある。「今回の危機が日本の防衛産業を成長させるきっかけとなり得る」と指摘するのは株式評論家の植木靖男氏だ。