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「1泊2日の甘い夢」は悲劇の始まり? 株主優待の裏技&注意点

落とし穴はこれだけじゃない

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長期優遇制度にご用心

 長期優遇制度とは、株式の保有期間によって優待の内容がランクアップするというもの。クロス取引のように、手数料だけで優待を手に入れる“タダ取り投資家”への対抗策として生み出されたものですが、自社株式を長期保有してもらいたいとの思いから、この制度を導入する企業も増えています。

 株を1年以上保有などの条件があることを知らずに投資してしまい、狙った優待がもらえなかった……とならないように、必ず権利内容を確認するようにしましょう。

優待の縮小・廃止にご用心

 株主優待は、業績不振など企業の都合でいつでも内容を変更したり、廃止したりできます。それによって起こった悲劇の例をご紹介しましょう。

【実例2】ヴィレヴァン投げ売りの悲劇

 雑貨なども扱う「遊べる本屋」として人気のヴィレッジヴァンガード<2769>は、100株(約17万円)で1万円分の商品券がもらえるとあって、個人投資家に人気の高い優待銘柄でした。

 しかし2016年7月、金額は同じ1万円でも、2000円の買い物ごとに1000円使える優待券へと“縮小”することを発表します(1万円すべてを使うには計2万円分の商品を買う必要がある)。この優待縮小にショックを受けた個人投資家が投げ売りし、株価は20%近く大幅に下落しました。

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 このように、人気の優待銘柄が縮小・廃止すると、個人投資家の投げ売りによって大きく株価が下落するリスクがあります。

 業績が悪くなると、企業は株主優待の内容を縮小したり、廃止したりします。換金性の高いクオカードなどの金券を優待にしている企業は、自社商品を優待として提供する場合よりも優待コストがかかるため、さらにそのリスクが高まります。

“お楽しみ”を楽しむために

 株主優待は、投資における“お楽しみ”として人気を集めています。しかし、優待の内容や優待利回りだけを見て投資をすると、さまざまな落とし穴にはまってしまうこともあります。

 ここで紹介したような優待に関する落とし穴だけでなく、業績悪化で株価自体が下落し続ければ「キャピタルロス」が発生し、もらった優待以上の損失を抱えてしまうリスクもあります。株主優待だけを重視せず、業績や将来性などにも目を向けることが大切です。

 株主優待投資は、企業の商品を実際に手に取ったり、店舗に行ってサービスを受けたり、“リアル”に体験することができる投資方法です。楽しいはずの優待投資が悲劇とならないよう、ご紹介した注意点を参考に、くれぐれも慎重に行なうようにしてください。

※「株の窓口」より
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【著者プロフィール】
岡田禎子:おかださちこ
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)ファイナンシャル・プランナー(CFP®)。証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。個人投資家として20年以上の経験がある。「投資は面白い」をモットーに、執筆、セミナーなどで活動中。

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