相場に影響するその他の季節イベント
このような季節のイベントによって相場が転換する例は他にもあります。主だったものをご紹介しておきますと、まずクリスマス明けから年初にかけて、欧米勢が新年度入りしてきますが、この時、新年度の目標をできるだけ早く達成しようとスタートダッシュを掛けてきます。特に、日本勢が正月気分に浸る時期ですので、手薄になったドル/円が投機の対象になることは、よくあることです。
3月は、日本の主だった企業・金融機関の本決算になります。レパトリ(レパトリエーション、資金の本国回帰)が起こるため、相場は円買い傾向となります。そして4月になると、新年度に入ってさあやるぞと、仕掛けてくる邦銀勢も多いですが、対して機関投資家などは新年度の方針が決まらないことで、結局レンジ相場になることが多く注意が必要です。
また9月は第1月曜にあるレーバーデーが開けると下期のスタートなり、猛攻を掛けてきます。最近の傾向として、若干前倒しになって8月後半から仕掛けてくるところもあります。
11月末は、米系ファンドの本決算、12月前半には、欧米金融機関の本決算に絡んだ、中間決算と同じような為替の反対取引が出やすくなります。決算処理の時期は、相場に大きく影響を与える期間だと十分理解しておくことです。
ファンドマネジャーの日本通を侮るなかれ
決算に絡んだ為替取引によって、結構、相場は動いています。毎年行われているにも関わらず、それに気づいているマーケット参加者は意外と少ないのが実情です。
ここで挙げましたイベントにつきましては、少なくともご記憶に止めておかれることをお勧めします。昔、ある米系ファンドのファンドマネージャーが来日してきた時に会ったところ、それはそれは日本のイベントについて詳しかったことに、舌を巻きました。彼は、お盆まで知っていたのです。
(2015年4月20日執筆)
※「マネーポスト」2015年夏号に掲載
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