4月24日の大手経済系新聞社の記事ランキングをみると、北朝鮮情勢に関するものばかりが上位を占めている。例えば、韓国系米国人が拘束されたこと、トランプ大統領が北朝鮮情勢について日中両国首脳と電話会談を行う予定であること、海上自衛隊がアメリカ空母と共同訓練を行うことなどがランキング上位にある。マスコミによる北朝鮮情勢に関する報道は、ここ数日で急に増えたわけではない。トランプ政権が4月6日にシリアに対してミサイル攻撃を行った後あたりから増えており、そうした状態がこれまでずっと続いている。
北朝鮮において核戦争が起こるかもしれないといった恐怖は、世界の投資家に対して地政学的リスクを強く感じさせ、株価下落の大きな要因となりそうなのだが、実際の株価の動きを見る限り、そうした反応は見られない。
アメリカが北朝鮮に対して軍事攻撃を仕掛けるとすれば、最も危険にさらされるのはいうまでもなく韓国である。北朝鮮は真っ先に韓国の首都ソウルを報復攻撃するはずであり、そうなれば韓国経済は大きな痛手を負うことになる。北朝鮮が先制攻撃をすると考えても、まず、攻撃対象になるのは、韓国のアメリカ軍基地であり、それはソウル龍山基地も含め、韓国全土に及ぶ。
しかし、韓国の株式市場を代表する韓国総合株価指数の動きを見ると、直近の終値ベースの安値は4月11日の2123.85ポイントである。その後は下値を切り上げており、先週(17~21日)に入り上げ下げはあったものの、24日は3営業日続騰となり、終値は2173.74ポイントを付けている。これは直近のピークである3月21日の2178.38ポイントまで後0.2%まで迫った位置である。ここを超えると昨年来高値となる。史上最高値(終値ベース)は2011年5月2日に記録した2228.96ポイントで、そこまで後2.5%である。
韓国株式市場の主要投資家が暢気であるとみるのか、アメリカ、或いは北朝鮮が先制攻撃を仕掛ける可能性は低いと読んだ方が良いのか、判断に迷うところである。