政府主導で推し進める「働き方改革」が大きな注目を集めている。労働時間を見直すなどワークライフバランスを重視した働き方の実現に向けて取り組む企業もあるなか、過酷といわれる医療機器メーカーの営業職に従事するAさん(30)がその実態について、口を開いた。
「医療業界における“営業”で真っ先に思い浮かぶのは製薬会社の営業マンであるMR(医薬情報担当者)だと思いますが、私たち医療機器メーカーの営業は、彼らより認知度も給料も低く、深夜呼び出しもある。MRが扱う薬は納入してしまえば単価もそれほど高くない分、持続的なケースがほとんど。一方、医療機器、特に外科領域のものは、手術中に使うものも多いで医師の先生もこだわりを持っている。納入が高額ということもあり導入も慎重になる分、辛いことも多いです」(Aさん。以下「」内同)
外科の医師が自ら扱うことで一段とハードルが高くなることから、医療機器ならではの苦労が絶えないという。
「先生が論文や研究、オペなどで忙しく、そもそもアポがとれないんです。とれたとしても、仮眠時間も含めて数時間待たされることもあります。だからこそ、先生に動いてもらうために信頼関係の構築が必要となります。それがなかなか難しいのですが、先生から『今日どうしたの?』『あれ良かったよ』などと声をかけてもらえたときは、ものすごくうれしいです」(前出・Aさん)