アベノミクス効果で株高が注目を集めているが、資金が流入しているのは投資信託も同じだ。昨年は海外の株式や債券を運用するファンドに人気が集中したが、株高の流れを受けて日本株ファンドも脚光を浴びつつあるという。リッパー・ジャパン、ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。
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このところ日本株ファンドに新規資金が流入している。とりわけ、アクティブ運用をする“老舗”ファンドへの流入が顕著だ。
具体的には、日本株のアクティブファンドの草分け的存在である、フィデリティ投信の『フィデリティ・日本成長株・ファンド』や、さわかみ投信の『さわかみファンド』。特に、JPモルガン・アセット・マネジメント『JFザ・ジャパン』は、1月の個別ファンドの資金流入ランキング8位となった。その額は219億円で、1999年12月の運用開始以来、過去最高額となっている。
こうした老舗ファンドは、いずれも10年以上の運用期間にわたって、度重なる金融危機を乗り越えて生き残ってきた。ここに来て再び脚光を浴びているのは、個人投資家が、日本株で長期的に運用したいと考えているからだろう。現在、日本株が長期的な上昇トレンドに転換しつつあることを多くの投資家が意識しており、長期間にわたって安心して資金を投ずることができるファンドとして、選好されているようだ。
株式投資を考えている人で、企業業績などをチェックして個別銘柄へ投資する余裕の無い人、あるいは、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数に連動するインデックスファンドでは面白みに欠けると考えている人には、参考になるのではないか。
こうした資金が流入した結果、1月の投信市場は4か月ぶりに約1305億円の資金流入を記録。ようやく、金融市場の環境好転を反映することとなった。
※マネーポスト2013年春号