また、含み損状態が続いていたトレーダーが、利益確定をし、再度売りポジションを持った、という理由も考えられます。例えば3月末から4月上旬にかけて、1万9200円あたりで買い玉を保有し、その後相場が下落したため含み損状態が続いてハラハラしていたトレーダーが、5月に入り1万9400円台を突破してきた状況を見て「やれやれ」と安心して利益確定し、再度売りポジションを持った、という分析です。
与えられたデータから未来の相場を読む
このように私は「買い残」よりも「売り残」の方が増えていた、というデータからトレーダーの行動をイメージします。一番重要なことは、与えられたデータから未来の相場を読むことです。
例えば、「買い残」よりも「売り残」の方が増えているという状況であれば、私は「あまり下落しない状況で、まだ上昇の余地が残っている可能性が高い」と考えます。
このようにお伝えすると、多くの方は「売り残が多いなら、下落すると思っている人が多いということだから、相場は下落するんじゃないの?」と考えるかもしれませ。しかし、相場というのは往々にして、多くのトレーダーが「下落する」と思って売りポジションを増やしている時ほど上昇しやすいという傾向があります。
むしろ、買いポジションが多い時ほど、何かのきっかけで、売り決済が大量に入ってきて、一気に相場が下落することも起こり得ます。
例えば、4月の日経平均相場を振り返ると、1万9200円あたりで買い玉がかなり増えていて、実際にその後ガラガラ下落し始めて、4月14日から19日までの間に「買い残」をどんどん減らしながら1万8200円台まで約1000円幅も下落することになりました。多くのトレーダーが投げ売りしてしまったと考えられます。