「日本の多くの金融機関は手数料を取るなどして自分の利益だけを考え、顧客と向き合ってこなかったという森氏の発言は正しい。金融機関のファンドマネージャーの手腕がどれほどのものなのか、商品を買う前に顧客が判断するのは容易ではない。そうしたなかで、2%とか3%とかの信託報酬を顧客の財産から取っていく。冷静に考えて、ずいぶん乱暴な商売ではないでしょうか。
“つみたて型NISAで扱えるのは1%に満たない”というのは、“良心的でまともな投信商品は1%しかない”といっているに等しいんです」
森氏の過激な発言は業界に混乱をもたらすという批判もある。ただ、多くの資金が投資に回る環境が整備されれば、株価上昇の追い風となることは確かだろう。それを期待する声も根強くある。
「よくわかっていない人に、得にならない商品をつかませて金融機関が利ザヤや手数料を稼ぐ。痛い目にあった顧客は金融機関を信用しなくなり、投資を手控える。日本の投資市場はこうした悪循環に陥っていた。
森氏による改革が実現すれば、個人の投資が増え、株式市場の活性化にもつながる可能性があります」(森岡氏)
※週刊ポスト2017年5月26日号