ただし、高齢者は「貯蓄は美徳」という戦後日本の伝統的カルチャーが染み付いているし、将来に対して漠たる不安を感じているため、貯め込んだお金を使おうとしない。
だから、彼らの「貯蓄は美徳」というカルチャーを「人生は楽しんでナンボ」へと本質的に変革するとともに、漠たる不安を解消する安心システムを作り、「元気なうちにお金を使って人生を楽しもう」という心理にして、今は“死に金”になっている日本の個人金融資産1700兆円がマーケットに出てくるように仕向けなければならない。
拙著『低欲望社会』(小学館)で何度も指摘してきたように、それこそが政府が取り組むべき最優先課題であり、そこにターゲットを絞った政策を打つこと、すなわち「いざという時は国が面倒を見るから、安心して人生をエンジョイしてください!」という明確なメッセージを出すことが、真の景気刺激策になるのだ。
※SAPIO2017年6月号