確率と呼ぶ以上、裏を返せば「景気上昇確率98.6%」とも読める――開発にあたった宮崎孝史・副主任研究員に尋ねると、「確かに、1.4%という低い確率からは足元の景気の底堅さが裏付けられたと解釈できます」と答える。
経済ウォッチャーたちの展望も新指標の示す見通しと符合している。株式評論家の植木靖男氏が解説する。
「決算発表を済ませた上場企業が次々と2017年3月期決算で史上最高益を出し、今期も更新の見通しを明らかにしています。円高という不利な条件下だった2016年度をくぐり抜けた企業がこの業績ですから、悪条件を脱した今、2年連続最高益更新への期待が膨らむのは当然です」
植木氏が指摘したように、上場企業の好調は決算に明確に現われている。日本経済新聞(5月12日付)は3月決算の上場企業1332社の前期純利益総額が20兆9005億円、今期はさらに増えて史上最高となる21兆8196億円に上ると報じている。
V字回復を鮮明にした総合商社
牽引役となった電機メーカーの復活を後押ししたのはiPhoneをはじめとしたスマートフォン向けの電子部品の受注だ。
ソニーはスマホ向けカメラ用画像センサーが伸び、赤字だった半導体事業が1000億円の黒字に転換した。スマホ本体の製造から手を引き、通信部門に特化した富士通も復活が顕著だ。
「昨年まで収益の負担となっていたリストラ費用も一段落して今期は過去最高益が見込めるようになった。スマホ部品についても好調ですから、選択と集中の努力が最高益に結びついたといえる」(前出・植木氏)