足元で原油先物価格が上昇している。WTI原油(Light Crude Oil、NYMEX)先物6月限の日足をみると5月5日に安値で44ドルを下回るところまで売られたものの、19日には50ドルを超すところまで回復している。主要原油国による協調減産が延長されるといった見通しから原油高が進んでいるようだが、中国ではそうした原油高の流れに水を差すような話題が報道されている。
新聞聯播は、「国土部中国地質調査局は18日、南海北部神狐海域(珠江河口の沖合で、インド・オーストラリア、ユーラシア、太平洋といった3つのプレートの境界線で、水深1266m、海底から203~277mあたり)においてメタンハイドレートの試掘に成功した」と報じている。「メタンハイドレートの試験掘削において連続して安定的に気体を取り出すことに世界で初めて成功した」としている。
メタンハイドレートの開発については、日本が世界で一歩、先行していたはずである。メタンハイドレート資源開発コンソーシアムは、2013年3月12日から18日までの約6日間にわたってメタンハイドレート分解によるガス生産実験を実施し、累計12万立方メートルのガスを確認したと発表している。そのため、世界で初めてメタンハイドレート分解によるガス生産に成功したのは日本である。中国は今回、「連続して安定的に気体を取り出すこと」に成功したという。
ちなみに、日本では、その後、2017年5月4日から第2回目の産出試験を開始している。メタンガスの産出を続けていたが、生産坑井内に大量の砂が流入したため、5月15日にガスの生産を一時中断している。これまでの実験では、減圧法により合計約3.5万立方メートル(暫定値)のガスの生産に成功したようだ。もう一つの生産坑井でのガス生産に向けて作業を続けており、5月下旬~6月上旬にかけて実施する予定だと、石油天然ガス・金属鉱物資源機構は発表している。