家計

脱下流の実現へ 「貧困化ニッポン」で生き残るための3つの秘策

 家計調査ではお小遣いを含む「その他の消費支出」という項目があり、97年は9万4543円でしたが、その後、減少の一途を辿り、16年は6万1533円と20年前より3万円近く削られています。他にも衣服代は2万264円から1万3153円へとカットされています。

 つまり、お小遣いを減らして衣料品などを買い控えるなど、生活レベルを下げて我慢を強いられているのが現状なのです。

 そうなってくると、貯蓄に回す余裕はどんどんなくなっていきます。金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」によると、97年は10%だった「貯蓄なし世帯」は、アベノミクスが本格化した13年以降、30%を超える水準で高止まりしています。

 いまや3軒に1軒の世帯で貯蓄のない「貧困化」が進んでいるのが実態なのです。

 問題は、それに歯止めがかかるかどうかですが、残念ながら、税金や社会保険料が今後も増大するのは人口動態からも明らかといえます。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本の総人口は2053年までに1億人を割り込み、60年には9284万人まで減ると見られています。

 そうしたなか、65歳以上の高齢者は15年の3387万人から40年には3900万人台まで500万人も増えて総人口の3割を超え、60年には4割近くに上る見込みです。

 一方で15~64歳の生産人口は15年の7728万人から40年に5978万人と1700万人も減り、60年には5000万人を割り込むと予測されています。このままでは現役世代の負担を増やさない限り、増大する社会保障費を賄うことができないのは必至の情勢です。

 しかも、一人ひとりの負担は着実に増えているのに、国家財政はよくなっていない。

 15年度の社会保障給付費(年金・医療・介護など)が116.8兆円であるのに対し、国民から集めた社会保険料収入は60兆円余りにすぎず、その差額は公費負担(税金や借金、資産収入など)で補填しています。

 その差は今後、現役世代の負担を増やすだけでは縮まらないことも確実視されています。これまでは若者を中心に非正規雇用を増やしたり、現役世代の税金や社会保険料負担を増やしたりしてきましたが、それもやがて限界に近づき、今後は社会保障を受ける側、つまりは高齢者がターゲットになる可能性が高いでしょう。

 年金の支給開始年齢が引き上げられたり、介護や医療費の自己負担が増したりすることも十分に考えられます。

 そう考えていくと、皮肉なことに、その割を食うのも、将来、高齢者になるいまの現役世代となってしまいます。現役時代に大きな負担を強いられたのに、いざ高齢者になっても支払った分がもらえない恐れもあるのです。

「貧困化」は今後ますます進むと見て間違いないでしょう。

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