TDBをはじめとする信用調査会社とは、企業が取引先の財務状況などを知りたいときに利用する調査会社だ。では、具体的に彼らは何を調査するのか。
「われわれ情報部は『倒産した会社』や『倒産しそうな会社』の情報収集とその要因を記事化する部署です。ある会社に倒産の兆候があるという情報が入れば、正面からアポを入れ、登記に書かれていない管理職の人事情報、財務情報、取引先などを聞く。会社所在地の現地確認や決算書まで確認します。地元の関係先にも側面取材協力を仰ぎます」(内藤氏)
てるみくらぶのように、粉飾決算に手を染めた兆候が見える会社は、当然のことながら倒産リスクが高い。情報部の部員(記者)たちが注目するのは、数字だけではない。前出の内藤氏は、兆候を見て取るポイントについてこう語る。
「『何か変だな』と感じさせる空気を現場に行った記者は嗅ぎ取ります。電話が何本も同時に鳴っているのに誰も取らなければ、返済の催促を恐れている=資金繰りに詰まっていることを疑います。手形の収入印紙が雑に貼られるようになった、社判が斜めに押されるようになったなどの変化も、“担当者が退職したのか”とか“雑になったのは資金繰りが苦しく、手形を切る数が増えたからでは”と考えたりします。
上場企業で『監査法人が中小に変わった』というときも注意が必要で、不正経理をごまかすためだったりする。業績が悪化しているのに、登記上の事業内容の数字が膨れ上がったり、役員に聞いたこともない人たちが不自然に載り始めたりするのも危険な兆候ですね」
内藤氏は、「倒産の2~3年前にはその兆候は掴める」と語った。
※週刊ポスト2017年6月9日号