一方、デイトレードや数分以内の値動きを小刻みに狙う「スキャルピング」を手がけるトレーダーにとっては、チャンスが少ない状態が続くかもしれない。
こうした短期取引では、瞬間的に相場を大きく動かす経済指標の発表が最も大きなチャンスとなるのだが、このところその反応が鈍くなってきているのだ。
そもそも経済指標が為替に影響する要因のひとつは、その結果が利上げの有無を左右する点にある。
しかし、最近のマーケットはすでに年内にあと2回という利上げ予想を織り込んでしまっている。このコンセンサスを覆すほどの結果でない限り、相場を動かすエネルギーにはなりづらいだろう。
一般的な仲値トレードに潜む失敗リスクとは
収益チャンスが減っている局面では、いわゆる「5・10日(ごとう日)」の「仲値トレード」を試してみるのもおもしろいかもしれない。これ自体は以前からある一般的なテクニックなのだが、最近SNS上で話題になることも多い。
5・10日とは文字通り5と10が付く日のことで、15日や20日など月に6回程度ある。土日が重なる場合は前日が相当し、月末を含むこともある。
一方仲値は、銀行が決めるその日の基準レートのことだ。常に取引レートが変動するFX会社と異なり、銀行は1日1回、9時55分にその日の仲値を確定する。
企業の多くは請求や入金の締め日を5・10日のいずれかに設定しており、輸出入企業など米ドルを実際に必要とする企業のドル買い需要が5・10日の仲値の時間に集中するといわれている。実際、9時55分ごろに米ドル/円レートが瞬間的に上昇することは、確かにある。この5・10日特有の値動きを利用した取引手法が、仲値トレードだ。
一般的な仲値トレードでは、仲値の前にドルを買っておき、上昇したら売って利益を確定する手法だ。
これは狙い通りの値動きをするなら簡単かつ有効な手法で、一瞬で20~30銭ほど抜けることもある。しかし現実には5・10日の仲値で必ず上昇するわけではない。逆に下落したり、仲値とまったく無関係な値動きをすることも多く、失敗のリスクも高いといえる。
そこで羊飼いは成功率を高めるため、セオリーとは異なる仲値トレードを行なっている。仲値の前にはエントリーせず、仲値でピュッとレートが跳ね上がったら、落ちてきたところを狙ってショートするのだ。