ドナルド・トランプ大統領が誕生した際、米中貿易摩擦は激化すると思った人が多かったようだ。しかし、トランプ大統領の対中政策は、4月6、7日に行われた習近平国家主席との会談を経て大きく変わった。トランプ大統領が貿易問題で中国を攻撃することは無くなり、中国に対して好意的な発言が増えている。この点について、日本のマスコミは、北朝鮮核開発問題で中国の協力が必要であるとか、政権幹部が不動産事業で中国と密接な関係があり、ビジネスを通して政権内に人的関係が広がっているからだとか、経済面以外の理由を挙げている。しかし、本当にそうだろうか?
中国の専門家が米中貿易問題をどう捉えているのか1例を紹介したい。国務院発展研究センター弁公庁の隆国強主任は、「貿易摩擦は勃発しない。その理由は以下の3点である」と主張している。
(1)米中貿易品目は競争関係よりも補完関係が強い
アメリカは先進国であり、中国は発展途上国である。アメリカは、ハイテク産業、農業、エネルギー産業などに強みがあり、一方、中国は相対的に労働集約的産業やサービス業に強みがある。衝突が起きにくい。
(2)米中トップによる政治的合意がある
4月6、7日の首脳会談において、習近平国家主席は、“我々は米中関係を良好にする1000の理由がある。1つとして悪くする理由はない”と発言している。トランプ大統領や政権はこれに対して積極的な反応を示している。
(3)貿易戦争は両者が敗者となる
貿易戦争は何の問題解決にもならず、お互いの利益を損ねるだけである