こうした観測報道に対し、ビクター・チャ氏は、4月17日の当方との情報交換で、「すでに北朝鮮は米国との直接交渉再開の提案を受け入れ、核実験は強行しないというサインを送っている」と答えていた。
彼の説明によると、ひそかに米国は中国を通じて、次のような要求をしていたという。それは、北朝鮮から軍事行動をしないことを示す、ICBMの開発状況を米国が認識できる形で公開する、核実験をしないということを示す、というものだ。
こうした要求に、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、まず軍事パレードに平服で参加することで、軍事行動を起こさないことを示した。これまで、軍事パレードにはすべて軍服で参加していたからだ。
また、新型のICBMやSLBMをすべて公開し、さらに、核実験場内でバレーボールらしきことをおこなわせ、核実験をしないことを暗示した。4月16日に撮影された衛星写真にその様子が写されている。
こうしたサインから、トランプ政権は北朝鮮が要求を呑んだと判断し、軍事オプションの行使を見送ったと、ビクター・チャ氏は解説してくれたのである(当方はこの解説をまとめたレポートを4月17日に機関投資家に送っている)。
デタント(緊張緩和)の状況に移行したにすぎない
外国人投資家の一部もこうした一連の事態を理解していたため、第1回目の仏大統領選挙の結果が判明する前に、地政学リスクの低下を手掛かりとして株式の買い戻しをおこなっていた模様だ。