首都圏の新築マンションは需要の低迷が続いている。その背景には何があるのか、不動産の市況調査を手がける東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。
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東京都での新築分譲マンションの供給戸数が著しく減っている。2016年の都内の新築マンション分譲戸数は2万9764戸と、前年比で12.5%も減少した。年間の新規分譲の供給が3万戸を下回ったのは2009年以来で、2017年に入っても供給の減少が止まる気配はない。
その主な要因として、建築コストの上昇により、新築マンションの価格が高止まりしていることが挙げられる。実際、2016年の都内の新築マンション一戸平均価格は6000万円台に突入し、2017年1~3月では7000万円台に達している。
新築マンション価格が高くなりすぎているため、新規の大型プロジェクトを一時的に止めたり、新規物件の供給を先送りにしたりするデベロッパーも目立つ。
こうした傾向は15年夏を境に拍車がかかっており、価格の高止まりと供給戸数の減少と需要の低迷の悪循環が現在も続いている。価格の高止まりは利回りの低下につながるため、慎重に様子見をする投資家も多い。