脱デフレ、2%の物価目標を目指して日銀は金融緩和を続けているが、いまその金融政策に異変が起きているのだという。いったい何が起こっているのか。経済アナリスト・森永卓郎氏が解説する。
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いまの日本経済の動きを見ると、驚くべき事実が浮かび上がります。
現在、日銀は金融緩和のために年間80兆円の国債を買い入れることを目標(目途)にしています。トランプ大統領誕生が決定した昨年11月まで、日銀の国債保有残高は10か月(昨年1~10月)の平均で月間7兆2314億円増、年率に直すと87兆円増でした。
つまり、日銀は目標を上回るペースで国債を買っていたのです。
ところが、昨年11月から今年2月までの3か月間の平均は3兆4929億円増で、年率換算だと42兆円増と、金融緩和のペースが半減。
さらに、2月末から3月末までの1か月間で見ると、日銀の国債保有残高は何と3兆1576億円減少したのです。これはつまり、日銀がついに金融引き締めに舵を切ったとも捉えることができるのです。