発表された経済指標や金融政策の内容を深く分析することよりも、たとえば米雇用統計の非農業部門就業者数の予想値と実際値の違いはどれぐらいあって、それはマーケットの大勢の期待に応えるものだったのかあるいはマーケットを失望させるものだったのかを判断し、売るか買うか様子見するかを決定します。
また、その国の中央銀行の金融政策決定会合において、金融政策を変更したか据置いたかという決定を確認することで、マーケットがどのような反応をするかを予測し、売買判断をします。
つまり、経済指標等の発表によって、マーケットの大勢が、どのような行動に出るかを事前に予測し利益につなげることが、トレーダーにとってのファンダメンタルズ分析です。
知的推理ゲームと思えば、なかなかおもしろいものですし、またテクニカル分析によって予測される相場見通しをファンダメンタルズ分析によって補強することが可能です。
ファンダメンタルズ分析へのとっかかりは、まず新聞やネットで、今なにがマーケットで話題になっているのかを知ることから始めることをお勧めします。
そして、次の段階で、経済指標の予想に対して結果がどうで、それに対して、マーケットがどのように反応したかをチェックする習慣をつけ、さらに自分なりにマーケットの反応を予測し、実際にトレーディングしてみることです。
変わりつつある主役指標
現在、月間最注目の経済指標は、米雇用統計であることは、言うまでもないことと思います。しかし、最近の米雇用統計は素直ではありません。結局、往って来いばかりです。
なぜかと言えば、米雇用統計に限らず、経済指標の発表時、トレーディングに参加しているのは、投機筋ばかりです。
逆に言えば、相場に方向性を与える投資家は、ひとつの指標、あるいは一回限りの発表では投資方針を決めないからです。投資家は、年金のような多額の資金を預かり運用していますので、極めて慎重な姿勢で対応しています。
■米国の雇用統計発表などの指標1回で運用方針を固めることは稀
■一旦運用方針が決まると、トレンドを作るほどの資金を動かすことも
■買ったら買い放し、売ったら売り放し、と一方向に長くポジションを持つ
■指標の結果次第で、買いや売りを一辺倒に行うが、意図した方向に進まなければ、すぐにやめてしまう
■投資家のように買い放し・売り放しができないため、ポジションをもったらなるべく早く決済する傾向にある
ですから、一回の雇用統計だけで運用方針を決めることは、絶対ないとは申しませんが、極めて稀だと言えます。従って、通常の雇用統計は、投資家は傍観しているだけで、相場にチャレンジしているのは投機筋だけとなります。