確かに、投機筋にも意地があり、発表された金曜のニューヨーククローズは、高くあるいは安く持っていくことはありますが、翌週そのまま意図した方向に相場が行かなければ、ポジション調整からの逆方向に相場は向かうことになります。
最近の米雇用統計は、さらに状況が悪化しており、上にも下にも行ききれないとか、従来の失業率や非農業部門就業者数では素直に動かないからといって、平均時給や労働参加率まで持ち出してきており、個人的には、末期的症状だと思っています。
言い換えれば、現在、米国は完全雇用にほぼ到達しており、雇用問題が大きな問題にはなっていないということだと思います。
次の最大注目指標は?
それは、毎月の米貿易収支の発表が、注目されることになると見ています。
トランプ大統領が、これだけ対米貿易黒字トップ4である、中国、日本、ドイツ、メキシコを名指しするほど、通商問題に重きを置いているためです。
実は今から20年以上前まで、米貿易収支は月間最注目の指標であり、毎月の発表には世界中のマーケット参加者がディーリングルームで控えて、発表を待ったものです。
いずれにしても、月間最注目の指標がスイッチすることは、十分考えられることだと思います。
ただし、米雇用統計と同様に、投資家筋が一回だけの結果で方針を決めることはないでしょうし、指標発表時のマーケット参加者は、投機筋が中心になることは変わらないものと見ています。
なにが、最注目の指標になったとしても、大事なことは、マーケットの大勢が指標になにを期待し、またどうなってはもらいたくないかを読み分けられる推理力を持つことです(2017年4月28日執筆)。
※マネーポスト2017年夏号