今の世界の経済情勢を見れば、今後の株式市場の動きが見えてくる。今後の日本株の展開について、海外投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏が解説する。
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世界的な株高基調が続いている。業績好調な米ハイテク株で構成されるナスダック総合指数が最高値を更新したほか、欧州各国、インドや香港などの新興国の株価も堅調に推移している。
日本株だけに目を向けていると見誤るが、主要各国の経済指標を見ると、米国、欧州、日本などの製造業景況感指数(PMI)はすべて上向き、世界経済は強い基調となっているのだ。
背景にあるのは、積極的な「財政出動」と「金融緩和」の継続である。カナダ、日本、中国、英国、米国などで財政拡大が進むなか、日銀やECB(欧州中央銀行)などが金融緩和を続け、潤沢な資金供給が各国の経済を押し上げ、各種指標も軒並み昨年半ばから好転している。
なかでも米国経済の好調さは際立っている。米国の5000世帯に景況感などを聞いて算出する「消費者信頼感指数」は16年ぶりの高水準を記録。住宅価格(S&Pコアロジック・ケース・シラー米20都市住宅価格指数)も年初に10年ぶりの高水準となっている。雇用統計は雇用者数に大きな伸びは見られないものの、失業率は10年ぶりの低水準で平均時給伸び率は堅調に伸びるなど、ポジティブな材料が目を引く。
絶好調の米国経済が牽引する格好で世界的な株高が続き、トランプラリーが一段落したことで調整中のNYダウも年内に2万5000ドルを目指す勢いは十分にあると見ている。