為替市場は欧州や北朝鮮情勢のリスクが後退したことでリスクオンの状態になった。為替のスペシャリストで酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏が今後の見通しについて解説する。
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これまでの為替市場は「テールリスク」に過敏だったと思われる。そもそも、テールリスクとは、「起きる可能性は非常に低いものの、起きた場合はマーケットに多大な影響を与えるリスク」のことだ。
5月の仏大統領選挙と米朝の軍事衝突もテールリスクといえるが、マーケットはその可能性を実際のレートにかなり織り込んでいた。
例えば、第1回目の仏大統領選挙の投票は、事前の世論調査も選挙結果も完全に予想通りの結果だったにも関わらず、ユーロは主要通貨に対して大きく値を下げていき、結果判明と同時に大きく戻した。
北朝鮮情勢も、マーケットでは核実験の可能性を織り込む動きがみられたが、隣国の韓国では特段、警戒が高まることはなかったといっていい。
なぜ、マーケットが、従来であればその可能性を強く織り込むようなことがないリスクで動いたのか?