やはり、昨年、起きるはずがないと思われていた英国の「ブリグジット」(英国のEU離脱)や、米大統領選挙でのトランプ氏の勝利が影響しているのだろう。このふたつが現実に起きてしまったことで、テールリスクに過敏になってしまったと思われる。
ただ、すでに今年の政治および地政学リスクのピークは過ぎたとみられることから、目先の為替相場の基調は、リスクオンのドル高・円安傾向となるだろう。
具体的なドル円のレンジとしては、105~120円を想定している。今年前半のレンジは108~119円だった。マーケットが政治・地政学リスクに過敏だったことを考慮すると、新たなテールリスクが登場しない限りは105~120円に収まるのではないだろうか。
ここで一つ付け加えると、これは比較的珍しい現象といえるが、最近、米ドル円とユーロ円や豪ドル円といったクロス円、さらにユーロ米ドルといったチャートが、揃って同じような形状になってきている。
おそらく、各国の金利や景気動向より、「リスクオンかリスクオフなのか」といったことがクローズアップされてきた結果、マーケットが単純化しているのではないか。
こういうときは、クロス円のトレードをする意味は薄く、米ドル円中心のトレードでよいと思う。マーケットの材料が分かりやすく、ポジションの管理などもしやすいからだ。
※マネーポスト2017年夏号