北朝鮮のミサイルや核開発の動向は世界の投資家たちも注目するところだが、もう一つ注目の的はサウジアラビアの動向だという。海外金融機関の動向について詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役の宮島秀直氏が解説する。
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世界の投資家たちが注目しているのがサウジアラビアの政府系ファンド(SWF)の動向だ。イスラム教徒の断食が行なわれるラマダンは、今年は5月27日から6月25日となっている。
ラマダン明け以降、サウジアラビアのSWFが保有する株式を売却する可能性が高いのである。
この背景には、サウジアラビアの財政赤字がある。WTI原油価格が1バレル=40ドル台では、年間約9兆円の財政赤字が発生し、そこに、介入したイエメン紛争の軍事費が最低4~5兆円上乗せされ、最終赤字は13兆円以上に膨らむことが予想されるのだ。
また、現在、OPEC諸国は表向き原油の減産を継続しているが、イランは裏で増産をしており、米国のシェール・オイルも増産傾向にある。
しかも、今年2月、サウジアラビア自身が減産幅を縮小していることが判明している。原油価格が1バレル=50ドルを超えて定着する可能性は低いといえよう。