サウジアラビアには財政赤字を放置できない理由がある。それは、国家的事業といえる国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)に影響する可能性があるからだ。
サウジアラムコのIPOは、2018年にNY市場で予定されている。時価総額2兆ドルと推定される株式の最大5%が対象で、間違いなく過去最大規模のIPOといえる。
サウジアラビア政府が掲げる『ビジョン2030』の目玉政策でもあり、株式の売却資金を新規事業と財政再建に充てようと考えている。
サウジアラビアが財政赤字を放置すると、サウジアラビア国債の格付けは低いままとなり、国営企業であるサウジアラムコの株価が、国債の格付けに連動して、実際の価値を下回るおそれがある。それを回避するために、SWFで赤字を埋め合わせる可能性があるのだ。
2016年末時点で、サウジアラビアのSWFには約6800億円の日本株が含まれている。今年に入ってからは、株式売却は手控えられていたため、6月下旬のラマダン明けに一気に売却が進む可能性がある。
※マネーポスト2017年夏号