知名度が高まるふるさと納税が今、曲がり角にきている。返礼品競争の過熱により、総務省がこの4月に「寄付額に対して返礼品は3割以下にする」「換金性の高いもの・資産性の高いもの・高額なものを返礼品として送付しない」ことを各自治体に要請したのだ。
そこでマネーポストは139の自治体にアンケートを実施した。
自治体の声を聞くと、「ふるさと納税は、役所が窓口となり地場産業へのお礼品の発注等を通じて経済の流れをつくれることから、小規模自治体にとってはとてもよい制度」「自治体の宣伝や地元企業・農家の育成にも繋がっており、価格だけでは見えないプラスの部分もある」と、制度の有用性は誰もが認めるところだ。
総務省通知に関しては「ある程度の規制は必要」と容認派の自治体もある一方で、「今回の通知は、各自治体の特色を生かした地域振興を図るうえで大きなマイナス。やっと軌道に乗ってきた、地域がチャンスを広げるための制度を潰すべきではない」と批判的な声も見られた。
自身で年間150件以上のふるさと納税をしている“ふるさと納税の達人”金森重樹氏も「制度を拡大させたいはずなのに、総務省がやっていることは真逆の政策です」と指摘する。
「宿泊券や、地元商店街でも使える感謝券などは一般的に1万円の寄付で5000円相当でしたが、今後は3000円相当の券しかもらえなくなります。地方には温泉しか観光資源がないような町もあるのに、そこが感謝券を絞られたら何を提供すればいいのでしょうか。
私が返礼品でもらった感謝券で何度も行った関東のある温泉地では、7割の方が感謝券の利用客だそうです。感謝券が3割になったら、今まで寄付していた人が、これからも寄付するでしょうか? とても宿泊施設が満室になるとは思えません」(金森氏)