投資

為替市場は良くも悪くも「トランプ」に飽きている印象

108円でロングして数か月保有するトレード

 羊飼いは、利上げに端を発した金融ショックが早ければ2017年中にも起こると考えていたが、今年前半のマーケットを観察する限りそれはもう少し先になりそうな気がしている。2015年末に始まった利上げにより、現在のアメリカは金融引き締め局面にはあるものの、そのペースはゆるやかでまだ初期段階だ。

 かつてない規模の金融緩和が行なわれた後だけに、市場にはまだまだマネーがだぶついている。今の金融市場は大きな変化を求めておらず、少なくとも2017年中は一定のレンジ内に収まりそうだ。

 具体的には、夏以降も1ドル=108円台まで再び下落する局面がありそうで、瞬間的には105円台やそれ以下もあるかもしれないが、年末には110円程度まで戻すのではないだろうか。この予想通りで推移するなら、長めのスパンを意識したスイングトレードが成功しやすい局面となる。

 戦略としては108円台まで下落したときに買っておけば、年末までにある程度の利益が期待できる。ロングした後さらに下落しても、余力があるなら買い下がっていいだろう。ただし、数か月保有するポジションになるので、レバレッジは低く抑え、ストップロス注文を必ず入れておくことが大前提だ。

 一方、デイトレードや数分以内の値動きを小刻みに狙う「スキャルピング」を手がけるトレーダーにとっては、チャンスが少ない状態が続くかもしれない。こうした短期取引では、瞬間的に相場を大きく動かす経済指標の発表が最も大きなチャンスとなるのだが、このところその反応が鈍くなってきているのだ。

 そもそも経済指標が為替に影響する要因のひとつは、その結果が利上げの有無を左右する点にある。しかし、最近のマーケットはすでに年内にあと2回という利上げ予想を織り込んでしまっている。このコンセンサスを覆すほどの結果でない限り、相場を動かすエネルギーにはなりづらいだろう。

※マネーポスト2017年夏号

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