中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

年収860万円から60万円へ転落、私はどうやって生き残ったか

他人と比較する人生を過ごすほど惨めなことはない

 住居は家賃3万円の風呂なし共同便所築40年アパート、食べるものはファストフード。自分からは飲み会を設定しない。ライブやスポーツ観戦等の娯楽もナシ。交通費を極力減らすべく自転車での移動を常に心がける。

 幸いなことに、浪費癖もなければ、風俗やギャンブルにハマることはなかったので、日々の生活で使うお金はそれほどありません。時々、「年収1000万円でも貯金ゼロ」とか「年収700万円でも破産の恐れ」みたいな記事を雑誌やネットで見ますが、大体登場する主人公は贅沢し過ぎているんですよ。マンションを買ったり、子供を私立の学校に通わせたり、外車を買ったりとね。

 さらに前述のような記事には「年収400万円の人の方が案外貯金できる」といった補足があるものですが、それは事実だと思います。結局、貯金ができない人というのは、お金を使い過ぎているんですよ。私が年収60万円時代、月に使ったお金は9万円です。平均月収は5万円で、赤字は毎月4万円。人間らしい生活をするには、生活保護でもらえる水準以下の9万円ぐらいの支出は仕方がない。だったら「贅沢」部分をいかに減らすかを考えなくてはいけません。

 これから人口減になる日本社会ですが、東京や大阪の一等地を除き、軒並み地価が下がっていく可能性もあるでしょう。となれば、「40歳も間近だから家を買わなくちゃ」などと考えるかもしれませんが、賃貸で安くていい家を借りられる可能性も高まってくる。住宅ローンは、自由な人生において重石になる面もあります。あとは、少子化だけに、同学年のライバルが多かった時には入れなかったようなハイレベルの大学にも自分の子供が入れるようになるかもしれない。となれば、教育費にそこまでお金をかける必要もなくなるかもしれない……。

 車だって、もはやステイタスにならない時代です。かつては左ハンドルがカッコイイといった感覚を持つ非合理的なオッサンも多かった日本ですが、今の若者にそんな感覚はありません。「他人と経済状況を比較するのは意味がない」と考える賢い世代が消費の主流派になる中、いちいち他人と比較をする必要はないのです。

 私は年収60万円になった年に「お前、こんな家に住んでるのか? オートロックどころか風呂もねぇじゃねぇかよ」と見下されたことはありますが、まぁ、言うなら言え、他人と比較する人生を過ごすほど惨めなことはない、と割り切って貧乏生活をし、翌年の年収は400万円になりました。

 しかしながら、月に使うカネは9万円を維持し、貯金を殖やすことはできたのです。世の中、とかく転職や副業により年収を増やすことに主眼が置かれがちですが、欲望の肥大化を避けた方が案外貯金は進み、安定した老後を過ごせるものでしょう。ただし、欲望が一旦肥大化するとそれは際限なくなりますので、肥大化傾向が見られた場合、家族はすぐに制止すべきです。

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