国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本の総人口は2053年までに1億人を割り込み、2060年には9284万人まで減ると見られています。そうしたなか、65歳以上の高齢者は2015年の3387万人から2040年には3900万人台まで500万人も増えて総人口の3割を超え、2060年には4割近くに上る見込みです。
一方で15~64歳の生産人口は2015年の7728万人から2040年に5978万人と1700万人も減り、2060年には5000万人を割り込むと予測されています。このままでは現役世代の負担を増やさない限り、増大する社会保障費を賄うことができないのは必至の情勢です。
しかも、一人ひとりの負担は着実に増えているのに、国家財政はよくなっていない。2015年度の社会保障給付費(年金・医療・介護など)が116.8兆円であるのに対し、国民から集めた社会保険料収入は60兆円余りにすぎず、その差額は公費負担(税金や借金、資産収入など)で補填しています。
その差は今後、現役世代の負担を増やすだけでは縮まらないことも確実視されています。これまでは若者を中心に非正規雇用を増やしたり、現役世代の税金や社会保険料負担を増やしたりしてきましたが、それもやがて限界に近づき、今後は社会保障を受ける側、つまりは高齢者がターゲットになる可能性が高いでしょう。年金の支給開始年齢が引き上げられたり、介護や医療費の自己負担が増したりすることも十分に考えられます。
そう考えていくと、皮肉なことに、その割を食うのも、将来、高齢者になるいまの現役世代となってしまいます。現役時代に大きな負担を強いられたのに、いざ高齢者になっても支払った分がもらえない恐れもあるのです。「貧困化」は今後ますます進むと見て間違いないでしょう。
【PROFILE】ふじかわ・ふとし/1968年生まれ。生活デザイン株式会社代表取締役。「家計の見直し相談センター」(http://370415.com)で個人向け相談サービスを展開する“お金のお医者さん”。『1億円貯める人のお金の習慣』ほか著書多数。
※マネーポスト2017年夏号