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日米の株価指数のパフォーマンス格差はどこから生まれているのか?

東芝は生き残り、ウェスチングハウスは消滅した

 政治の力では、日本やアメリカのように成熟した先進国の経済を一挙に好転させることは難しい。しかし、政治や社会のあり方が長期的に株価や経済に甚大な影響を及ぼすことも間違いないように思われる。

 日経平均株価は、今から30年ほど前の1989年末に史上最高値の3万8915円で引けた。当時の米ダウ平均は2700ドル台、ナスダック指数は450ポイントほどである。

 それから30年の間に、日経平均はほぼ半値になり、ダウ平均は8倍、ナスダック指数は10倍以上に上昇した。この目の眩むような日米の株価指数のパフォーマンスの格差は、どこから生まれているのだろうか。それは、構成銘柄の変化に依るところも大きい。

 東芝を存亡の危機に追い込んだウェスチングハウスは、元を辿れば、19世紀末に発送電の事業化に成功し、世界初の原子力潜水艦と原子力空母に原子炉を納めた由緒ある名門企業の一部門である。

 本体は、当然、ダウ平均の一角を占めていたが、リストラに苦しむ中、1997年に構成銘柄から除外され、1999年にはバイアコムに買収されて消滅した。

 もし今も残っていたならば、相当にダウ平均の足を引っ張ったに違いない。一方、東芝は、あれだけの不祥事を重ねながら、東証1部上場の日経平均採用銘柄の座を維持している。

 この2社の経緯は、日米の株価指数の差異を非常に象徴的に表わしている。さらに言えば、今ナスダック指数を牽引するアルファベット(グーグルの持株会社)、アマゾン、フェイスブックなどは30年前には存在もしていなかった。

 日本は、やはり、アメリカに較べて優勝劣敗を好まない、古い企業が生き延びやすい「和をもって貴しとなす」国柄なのであろう。

 もちろん日本にも、長期にわたって株価が上昇基調を保ち、最高値圏にある優良企業はいくつもある。しかし、平均を取れば、為替と世界景気に合わせて業績が上下する多くの企業の株価の動きに飲み込まれてしまうのだ

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