ビジネス

日米の株価指数のパフォーマンス格差はどこから生まれているのか?

トランプ政権の支持率低迷がナスダック高値更新の追い風に?

 企業の栄枯盛衰は、必然的に多くの社員の雇用を不安定にする。アメリカの企業エリートは、キャリアアップのチャンスにも恵まれる代わりに、日本のように新卒で大企業に正規社員として採用された時点で一息つくことは許されない。

 ハーバード大学の同窓会報では、母校に多額の寄付をした卒業生を称えているという。その一方で、寄付を怠っている者は「恥ずべき者ども」というレッテルが貼られる。卒業生の競争を煽り、成功者を増やさなければ、優秀な学生を集められない。アメリカでは、大学も厳しい競争の渦中にあるのだ。

 そして、世界中から優秀な志願者が押し寄せるために、アメリカの一流大学に入る門は年を追うごとに狭くなる。それは、外国人との競争に負けて、親と同じレベルの大学に入れないアメリカ人の子どもが増え続けていることを意味する。

 トランプの勝利は、そういう厳しいアメリカの競争社会に辟易して、こっそりと移民排斥に賛同したエリート層が相当数いたことを示しているのであろう。

 驚くには当たらない。私たちは自覚に乏しいが、「移民を入れるな、国内に工場を造れ」というトランプの主張は、日本では支配的な論調ではないか。そういう国は、株価指数は振るわなくても、住むには快適かもしれないのだ。

 トランプ政権は、今のところ、移民を制限する有効な政策を打ち出せていない。もし、彼が公約通りにアメリカの「日本化」に成功したら、アメリカの株価指数は長期的に低迷することになろう。

 トランプ政権の支持率低迷は、案外、ナスダック指数の追い風なのではなかろうか。

※マネーポスト2017年夏号

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