《百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり》
この《百戦百勝は…》とは、戦わずして勝つことこそ最善の策であるという意味を表す。百回戦って百回勝ったとしても、その次には負けてしまうかもしれない。だからこそ、戦わないで敵を降伏させることが最善であるという『孫子』の礎となる考え方だ。
これを家庭に置き換えてみよう。小遣いをせびる夫は、節約をする妻の敵。しかし正面切って戦えば、どちらかが必ず傷つき、妻が勝ったとしても恨みを残し、夫の働く意欲をそぐかもしれない。そうすれば、今後のマネープランにも響く。つまり、夫や家族とはけんかをせず、まずは話し合いで解決させる道をとるべきだととれる。
一見当たり前のようだが、怒りを我慢して話し合うのではなく、自分が勝つために話し合うのだと思えば、余裕も生まれるというもの。
用意周到に準備して戦うべし。貯蓄も同様
さらに、前出のファイナンシャルプランナー・山田さんが“家計管理の鍵”として最も適切だとあげた名句は、《勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む》だ。
あらかじめ態勢を整えてから戦う者が勝利を収め、戦いが始まってから慌てて何かしようにも負けてしまう。周到な準備が大切であると説く。