具体的にどのような対応なのか。同社の契約弁護士であるベリーベスト法律事務所の巽周平氏が説明する。
「疑いをかけられてしまうと気が動転する方が多いので、まず『大丈夫です。落ち着いてください』と声をかけて、『電波の良い場所に移動して電話は絶対に切らないでください』と伝えます。依頼主は弁護士に相談する権利があるので、警察は電話を切らせることはできません」
電話をつないだまま現場に直行
そのうえで状況に応じたアドバイスを送るという。
「基本的には『長い時間その場に留まったり、駅事務所に行くのは避けてください』と伝えます」
駅事務所に行くだけで「罪を認めた」と見なされてしまう可能性があるからだという。
「すぐさま逃げる」ことが有効だという説もあるが、それはリスクが高い。5月12日には痴漢を疑われた40代男性がJR上野駅の駅事務所から逃走中、6階建ての雑居ビルから誤って転落して死亡する事件が起こっている。また、逃げている間に通行人にぶつかったり、手を振り払ったりすると、それが傷害罪とされることもある。
「ホーム上で揉めていたら、『私はやっていないので、その場に留まる理由がありません』と主張して名刺を渡し、逃亡の意思がないこと、弁護士に対応してもらっていることを相手に示してから、その場を離れることを勧めます。それでも収まらなければ担当弁護士が電話を代わり、『逃亡する意思のない者を取り押さえたら違法です』と伝えたりもします」