【大湊線(野辺地~大湊)】
「大湊線は、青森県の2つの半島の“右側”、下北半島を陸奥湾沿いに北上する路線です。車窓には穏やかな陸奥湾の景色が広がり、寂しげな海岸線を進む様子はいかにもローカル線。“何もない贅沢”を味わうことができるでしょう。
大湊線は58.4kmという“盲腸路線”ですが、11駅しかないので終点まで1時間程度で到着します。終点の大湊からは霊場・恐山もすぐ。ここまで来たなら、本州最北端にしてマグロの名所・大間まで足を伸ばしたいところです」
【仙石線(仙台~石巻)】
「仙石線は、仙台圏在住者にとっては“日常の足”ですが、同線からは日本三景のひとつである松島を楽しむことができます。車両は通勤型のロングシートですが、列車から降りずに絶景を堪能できるのは大きな魅力でしょう。
その先の陸前大塚~陸前小野間は東日本大震災の津波で大変な被害を受け、ルートも変更された場所。終点の石巻に着いたら、さらに石巻線に乗り換え、女川まで足を伸ばして、復興の息吹を感じ取って頂ければと思います」
【釜石線(花巻~釜石)】
「釜石線は文化の香りが漂う路線です。始発駅の花巻駅は、『銀河鉄道の夜』の作者・宮沢賢治ゆかりの地ですし、途中駅の遠野は、民俗学の大家・柳田国男の『遠野物語』の舞台。『銀河ドリームライン釜石線』という愛称が付けられており、宮沢賢治にちなんで沿線の24の駅にはそれぞれ『チェールアルコ(虹。花巻駅)』『フォルクローロ(民話。遠野駅)』『ラ・オツェアーノ(大洋。釜石駅)』など、エスペラント語の愛称が付けられています。
沿線最大の絶景ポイントは、そろそろ釜石に着こうかという上有住~陸中大橋間。絵に描いたような田園風景をのんびりと走る釜石線ですが、同区間は標高差が150m近くあるため、線路が盛大なS字カーブを描いており、“これから通る線路”を眼下に見下ろすことができます」