ちなみに、2015年8月の為替改革以来、人民元安懸念が高まり、資金流出が発生したものの、カジノ収入はその間はむしろ少しずつ回復に向かっていたことになる。中国からマカオカジノに流れる資金の性質は、やはり少し特殊な性質である可能性が高い。
日本がカジノ解禁された場合、最大のライバルはマカオ
マカオカジノ関連以外で汚職取り締まりの影響を受けたセクターとしては、本土の白酒関連が挙げられる。例えば、その代表的な銘柄である貴州マオタイ(600519)の株価を見ると、2016年9月をボトムに長期にわたる上昇トレンドが発生している。2016年9月28日には場中で287.56元を付けているが、2017年6月23日終値は64.4%上昇し、472.73元を付けている。背景にあるのは好業績である。2017年1-3月期業績は35.7%増収、25.2%増益を達成している。回復時期は白酒の方が早いものの、急落、急回復といった動き自体は、マカオカジノ関連も同じである。
アジアでは、韓国、フィリピン、シンガポール、マレーシア、カンボジア、ベトナムにもカジノがある。日本で、カジノが解禁された場合、各国が市場を分け合って仲良く発展するなどということは考えにくい。最大のライバルは規模で世界最大のマカオであろう。マカオから顧客を奪うことができなければ、日本のカジノが成功する可能性はないだろう。マカオには、世界遺産、美味しいポルトガル料理、充実した健全なエンターテインメントから、グローバルな性風俗に至るまで、多層的な魅力がある。どうやって、それ以上の魅力を日本の業者が提供するのかが成功のカギとなる。
マカオの収益源は中国資金であり、それは法的な面でグレーなものが多い。そうした資金を取り込まざるを得ないだろうが、そうした性質の資金で事業を回すこと自体、日本として望ましいことではない。