2006年にニッポン放送株をめぐるインサイダー取引容疑で逮捕後、表舞台に姿を見せなかった村上氏だが、自叙伝『生涯投資家』の刊行に合わせたインタビュー(『週刊東洋経済』6月24日号、伊藤邦雄氏との対談)で、東芝についてこう言及した。
〈今の東芝は「買い」。半導体子会社を売却した後のバランスシートを考えたら、東芝はキャッシュリッチのピカピカの会社になるからだ。しかも「上場廃止になるかもしれない」とメディアが不安をあおることで株価が下がり、絶好の買い場になっている〉
この発言は、市場関係者の間で大きな話題を呼んだ。というのも現在の東芝の筆頭株主は、旧村上ファンド出身者が運営している投資会社エフィッシモ・キャピタル・マネージメント。今年3月に突如、10%弱の株を取得し、筆頭株主に浮上。「乗っ取りを狙っているのか」などと市場関係者の間でさまざまな憶測を呼んでいた。
村上氏はこのインタビューで「かつての部下たちと連絡を取り合ってはいないが、考えそうなことはよくわかる」とも述べている。
果たして、本当に東芝株は「買い」なのか。ケイ・アセット代表で株式アナリストの平野憲一氏は言う。