日本では1996年11月、当時の橋本政権が提唱した金融ビッグバンにより、資本の自由化、国際化が進展した。その過程で、銀行による株式保有、事業会社による持ち合い構造が崩れ、それと共に株価は大きく調整するとともに、海外投資家が主要プレーヤーとしてさらにプレゼンスを高めることになった。
現在の日本市場は、株価を支えるためにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公共法人や日本銀行が多額の株式を買い支えている。結果的に、かれらの買い支えが、規模の大きな“悪意の投資家”から資本市場を守っているのだが、その姿は、自由、公正、国際化といった金融ビッグバンの精神からは大きくかけ離れている。
20年という大きな時間軸でみれば、日本経済は依然として不振の域を脱していない。中国、香港の発展を見る限り、日本経済の不振の一端は金融資本市場発展戦略の失敗にあるのではないかと思う。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。