【大糸線(松本~糸魚川)】
「先述の小海線が“リゾート型の山岳路線”なら、こちらは“本格派の山岳路線”です。あまりにも山深い場所を進むがゆえに、大糸線の歴史は不通と復旧の歴史。数年ごとに数か月単位の不通を繰り返しています。
そんな大糸線ですが、車窓からは、安曇野に広がる田園風景、仁科三湖、そして常念、燕、大天井、鹿島槍、白馬、乗鞍、針ノ木、五竜など、北アルプスの名山を望むことができ、チェックポイントが多数存在。飽きることがない贅沢な車窓です」
【高山線(岐阜~富山)】
「太平洋から日本海をほぼ縦断する高山線は、全線189.2kmという長大な路線。全線を鈍行で乗り通すには丸1日を要しますが、それだけの甲斐がある路線だと思います。岐阜駅を出ると、まずは金華山の山頂に岐阜城を望み、その後列車は木曽川、飛騨川と、常に川面を眺めながら、列車は進みます。途中には、名湯・下呂温泉を通過します。
そして、『この先に何かあるのか?』と不安になるほど寂しげな谷あいを延々と進むと、日本を代表する観光地・高山に到着。数駅先には、大ヒット映画『君の名は。』で、一気に全国区の観光地になった飛騨古川もあり、合わせて訪れてもいいでしょう」
【飯田線(豊橋~辰野)】
「ある意味で“ローカル線の頂点”に立つのが飯田線です。その理由は、『乗れば分かる』とでもいうべき路線の長さと駅の多さ。全線195.7kmには実に94もの駅があります。走っては止まり、走っては止まりを繰り返す飯田線ですが、車窓には南アルプスの山々、緑が映える水田、河岸段丘など、広がる景色はまさに“日本の美”。
飯田線には小和田、田本、金野など、『秘境駅ランキング』でベスト5にランクインする秘境駅がいくつもありますので、どこかで下車して“秘境感”を味わうのも一興でしょう」