もちろん全く懸念材料がないわけではない。
たとえば、iPhone8については、OLEDディスプレイの加工上の問題、3Dセンサーをディスプレイに押し込む際の問題、Touch IDセンサーの歩留まりの悪さなどから、発売が遅れる可能性が指摘されている。今年の秋に発売されたとしても、数量が限定される可能性もあり、3Dセンサーの搭載は2018年に入ってからになるのではないか、といった懸念もあるようだ。
ただし、これらは短期的要因である。スマートフォンが前後2つのイメージセンサーを必要とする状態や、これから瞳の虹彩など、3Dによって認証を行うようになるといった流れは不可逆的である。
自動運転技術の搭載が既に始まっており、今後、完全自動化運転に向けた動きが不可逆的に進むだろう。また、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)がゲーム、一般映像から医療などに大きく広がっていくだろう。LED、太陽光パネル、フラッシュメモリなどの需要拡大も続くとみられ、半導体に関する潜在的な需要は大きい。
日本でも、村田製作所、TDK、アルプス電気など、電子部品セクターの中にはやや出遅れ感のある銘柄もある。長期的な成長性を考えると、ハイテク関連株は押し目買いのチャンスではなかろうか?
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。