高配当銘柄を探すときの注意点
最後に、重要な注意点をひとつ紹介します。それは、配当利回りの高い銘柄を探すときに使用する「スクリーニング機能」です。
スクリーニングとは「選び出すこと」という意味ですが、会社四季報や証券会社などのウェブサイトでは、銘柄選びのために便利に使えるスクリーニング機能があります。これを使うと、3000以上ある上場銘柄から「配当利回り」「配当金」「業種」「株価」などによって、自分の希望の条件に合った銘柄だけを抽出してくれます。
しかし、こうしたスクリーニング機能で使われている配当利回りは、「前年度の配当金÷現在の株価」で算出されていることがあります。したがって前年度の配当金が高い銘柄では、その後に減配を発表→株価は下落→「見かけ」の配当利回りが高くなる、といったことが起こり得ます。
その配当利回りは“まやかし”かも?
たとえば、前年実績が株価1000円で配当50円、つまり配当利回り5%という銘柄が、今期は予想配当を20円と発表したとします。すると、減配を嫌った投資家たちによる売りが出て、株価は800円に下落しました。このとき、今年度の予想配当と現在株価をもとに計算すると、配当利回りは2.5%になるはずです。
ところが、前年度の実績数値が使われていると、この銘柄の配当利回りは8%ということになります。前年度より配当利回りが上がっているかのように見えてしまうのです。
こういった簡単なミスを防ぐためにも、高配当の銘柄を見つけたら必ず最新の決算短信を見て、今期の予想配当が前期実績から減っていないかどうかをチェックするようにしてください。これを知っているだけでも、知らない人に比べて有利に投資・トレードをすることができます。
損する前に知っておくべきこと
このように、株式投資をするうえで「知っておいたほうがいいこと」は、まだまだたくさんあります。株の売買で利益を上げるためには、持っておくべき知識と経験というものがあるのです。“なんとなく”売買をしていて利益を上げさせてくれるほど、甘い世界ではありません。
投資家として、トレーダーとして、マーケットについて理解をしっかりと深め、リスクとリターンを把握したうえで、大切な資金を投じるようにしてください。
株の世界は、基本的な知識を持たないせいで大きな損失を出してしまう人が多い世界でもあります。それは、配当や株主優待を狙った投資でも同じです。配当狙いだからリスクゼロ、なんてことはありません。まずは、自分のやろうとしていることが「投資」なのか「トレード」なのかを理解しておく必要があるでしょう。
株の窓口編集部
株の窓口の編集部。株の窓口では、株式投資に関する基礎知識や投資法について、現役トレーダーや投資コラムを手がけているライターをガイドに情報を配信している。