「まずは2021年7月期までに1000店舗。その後、世界の『鳥貴族』を目指して、海外に進出します」(大倉さん、以下「」内同)
近年、日本人は、安価なものに慣れ、物の本当の価値に鈍感になっている。そんな消費者の価値観に合わせたかのように、食に関する偽装事件が相次いでいる。2007年には高級料亭の船場吉兆で産地や賞味期限の偽装が発覚。また、カレーチェーン店の壱番屋が産廃業者に廃棄を依頼したカツが、他業者に横流しされた昨年の事件は、記憶に新しい。
そんな中、『鳥貴族』は低価格で質のいいものを提供することを創業来の目標に掲げ、貫き続けている。
「いつの時代も低価格は強い。でも、“安かろう悪かろう”ではだめです。価格以上の価値を提供することが大切です。それによく“安い”とおっしゃっていただきますが、われわれからすれば、無理をしているという意識は全くありません。われわれにとっては適正価格です。全品280円均一にしてから、28年間値上げをしていないのも、そのためです」
消費税が上がっても、値上げをしなかった。それどころか、昨年からフードに使用する食材を100%国産に切り替えた。
「焼鳥専門店なので、味、ボリューム、価格のトータルで他店に負けるわけにはいきません。名物メニューの“貴族焼”は一般的な焼き鳥店で提供される焼き鳥と比較して、重さは約3倍。味を追求するために、国産鶏を店内で1本1本串打ちしています」
さらにサラダやポテトに使う野菜の供給を維持するために数年前から畑を押さえ、鶏肉だけでなく、野菜も100%国産を徹底している。
※女性セブン2017年8月10日号