その後、近所の焼き鳥店で働き、そこの店長から「一緒に大きなチェーンを作らないか」と誘われて入社。25才で独立し、鳥貴族1号店を立ち上げた。
「初めは閑古鳥でした。当時は悩みましたが、だんだん、“悩んでいるときこそ成長している”ことに気づいたんです。そのうち、困難に当たると“よし来た”と思うようになりました(笑い)」
創業から1年後、全メニューを250円均一にすることで、赤字が好転した。
「100円ショップもそうですけど、均一ショップって安いだけじゃなくて、お得なものを見つける楽しさがあって、そこが面白いと思ったんです。『これは値段通りの商品だな』と感じることもあれば、『あっこれはお得かも』と思うことがある。それが面白い」
1985年の創業から休みなく夢中で働き、事業を拡大させてきた大倉さん。「仕事が楽しいから、プライベートで息抜きをするという意識は全くなかった」と振り返る。しかし5年ほど前から、週休2日制を守るよう部下に言われ、土日は休むようになった。
「丸一日休むのは盆と正月くらいでしたから、子供たちの学校行事に一度も参加したことがありませんでした。今は罪滅ぼしのつもりで、家族団らんの時間をつくっています。3人の息子たちはすでに成人して独立しているので、年に1~2度家族で食事に行ったり、温泉旅行に行ったりしています」
大倉家は祖父の代から起業家だ。商売人の家系である証に、“忠”の字を継ぎたいという思いから、長男の名前にも“忠”をつけた。