日本の個人金融資産は1800兆円にものぼる。まさに「黄金の国」だが、それらは主に高齢世帯で死蔵されるばかりで、将来への不安が先に立つ「低欲望社会」の日本では、なかなか消費や設備投資に向かない。経営コンサルタントの大前研一氏が、低欲望社会を脱出できるプランについて解説する。
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いま日本で本当に求められている政策は、夢物語のようなGDP600兆円や2%物価上昇ではなく、高齢者を中心に国民一人一人の将来に対する漠たる不安を解消することだ。具体的な方法は、いわば洋服をオーダーメイドするように、その人その人に合ったファイナンシャルプランを作り、それがマイナスになった人には国がセーフティネットを用意すればよい。
たとえば、所有している住宅の残存資産価値や加入している保険の価値はどれくらいあるのか? 年金はいくらもらえるのか? そうしたことを計算してきちんとしたファイナンシャルプランを組み立て、それに自分が望むライフプランをマッチングさせるのだ。