さらに、経済の安定が強調されている。国際要因を含め、景気に大きな変動が起きるようなことが起きれば国務院が素早く対応するだろう。政治的には微妙な時期に差し掛かっており、景気を含め、すべてに安定が求められるだろう。
下期は政策によってPPP(公民連携)プロジェクトの増加が見込まれ、2010年に大きなピークを付けた建機、トラックなどの更新需要も望めそうだ。遅々として進まない感もある一帯一路戦略であるが、国家の最重要戦略の一つであることは間違いない。下期もインフラ投資が増えやすい環境にあると言えそうだ。
日本では、コマツ、住友建機といった建設機械メーカーの業績が好調である。その主な要因として、中国ビジネスの回復が挙げられる。秋の共産党大会後、景気減速するといった見方もあるようだが、現段階で、国務院が景気浮揚に注力しているといった事実はない。構造改革の一環として、下期もインフラ投資の好調は続きそうだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。