上場全銘柄の値動きを見ると、株価が前日比で10%変動するケースはほとんどない。ところが、2017年上半期にIPOした39銘柄について、上場日における初値と同日につけた高値を見ると、すべての銘柄において初値がついた後も値上がりした。その初値と高値の騰落率は、レノバ(マザーズ・9519)のプラス26.7%を筆頭に14銘柄が10%を超えており、39銘柄の平均騰落率も8.7%となっている。一方で、39銘柄のうち終値が初値を維持できなかった銘柄は20を数え、初値と終値の平均騰落率はプラス0.9%だった。
しかも、IPO株の上場当日の初値に対する高値の騰落率が高パフォーマンスとなっているのは2017年上半期だけではなく、アベノミクス相場が本格化した以降、継続している傾向だ。
したがって、今後もIPO株は上場日の初値で買って、その日の高値で売り抜ければ、キャピタルゲインが得られる可能性が非常に高いと考えられる。さらに具体的にいえば、IPO株を初値で買って、あまり欲張らずに初値より8%程度値上がりしたら売る指値注文をしておく戦略を取れば、非常に高い確率で利益を出せるということだ。
新興市場へのIPOで市場からの調達額が5億円未満、ベンチャーキャピタルの保有がなく、主要株主にロックアップ(売却制限)がかかる、といったポイントから銘柄を選べば、こうした銘柄は上場日の売り圧力が強くないので、この投資戦略の成功率はさらに増すはずだ。
■西堀敬:投資情報サイト「東京IPO」編集長などを経て、現在は「IPOジャパン」編集長(https://ipojp.com/)。IR説明会、セミナーなども多数行なう。著書に『最新版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』など。