2017年上半期(1~6月)も、IPO(新規上場)銘柄は好調な値動きを見せた。もちろん、IPO株を公開価格で入手し、上場後についた初値で売り抜ければ高い確率で利益を出せるだろうが、多くのIPO株を公開価格で入手するには、多数の証券会社に口座を開設する必要があるうえに、抽選に当選しなければならない。そうした中で、IPO間もない銘柄を選んで投資(セカンダリー投資)することで、大きな利益を狙う戦略も選択肢のひとつとなる。投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が解説する。
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IPO銘柄への投資法としては、上場直後の投資以外にも、上場後1~2年経った段階で新興市場や東証2部から東証1部への市場変更するタイミングを狙う手がある。そうした可能性の高い銘柄を先回りして仕込むことができれば、大きなリターンが期待できるだろう。
新興市場や東証2部に上場していた企業が東証1部に市場変更すると、株主構成が変わって、機関投資家の買いで株価が大きく上昇することがある。大口の機関投資家の運用するファンド、特に年金ファンドなどでは、組み入れ候補銘柄に新興市場や東証2部の銘柄を入れていないケースが多い。それが、東証1部へ昇格と同時に組み入れ対象となるわけだから、たとえ業績に大きな変化がなくても、需給による株価上昇が起こるのである。
この投資戦略により、2~3年の期間でじっくりと保有してリターンを上げるには、実は東証2部銘柄が一番妙味がある。2013年から現在までの期間の初値騰落率を市場別に見ると、マザーズ市場のパフォーマンスの高さが目を引いている。だが、初値からのパフォーマンスを見ると、最も安定したパフォーマンスを出しているのは東証2部銘柄なのだ。