アナリストたちの間では、今年の3月で鉄鋼価格はピークを打ったのではないかとみる向きも多かった。6月以降の上昇にはサプライズがあり、そのことが株価の上昇を加速させたとみている。
“地条鋼”など質の悪い鉄の生産をさせないように監督管理
鉄鋼価格の上昇は、2016年から始まった供給側改革によるところが大きい。鉄鋼、石炭を中心に過剰生産能力の削減を進める政策が打ち出されている。供給側改革が進展する限り、供給面で縮小圧力がかかり続けることになる。
7月24日に行われた中共中央政治局会議で下半期の経営運営方針が示されたが、供給側改革については、「変わることなく深化させることを堅持し、“三去一降一補”を深く推し進め、ゾンビ企業の弱点をしっかりと処理し、その多くについては市場メカニズムによって優勝劣敗を実現させる」としている。“三去”は生産過剰・生産コスト過剰・不動産在庫過剰の改善、“一降”は金融システムの安定化、“一補”は競争力の強化や成長分野の拡大を意味する。
国家発展改革委員会政研室の厳鵬程主任兼報道官は7月18日、プレス発表を行い、「6月末に質の悪い、いわゆる“地条鋼”の処理計画が明らかになり、これから監督・調査が開始される」と発言している。
鉄鋼価格が上昇すれば、生産を増やそうとする業者が現れるのは当然である。中には、質の悪い、廃品の鉄を溶かして固めただけの“地条鋼”を作り販売する業者もいる。そうした業者を含め、遅れた設備で、質の悪い鉄の生産をさせないように当局は監督管理を強めている。下期も鉄鋼価格は高止まり、ないし上昇が続く可能性が高いとみている。