海外勢の長期休暇に日本ではお盆休みが重なり市場参加者が激減することでもたらされる「夏枯れ相場」。特に今年の夏は7月の日経平均株価が1か月間で上下に270円しか動かず、前月末の株価に対する変動率がわずか1.3%と、第2次石油危機後の1980年11月以来、36年ぶりの低さだったことからも、その傾向が顕著となっている。
「例年にも増して枯れているのは、日銀のETF(上場投資信託)買いによる弊害が大きい。年6兆円もの規模で買い支えることから下値も限定的となり、そんな“官製相場”では上値も限られてきて、市場のボラティリティがなくなっているため、膠着状態が続いているのです」(市場関係者)
市場参加者が限られる中、北朝鮮の地政学リスクへの警戒もあって株式市場が低迷しているわけだが、証券会社の業績への影響はどうなっているのか。以前なら相場が閑散とすると兜町界隈から“悲鳴”に近い声が聞こえてきたものだが、ここ最近、そういう話はトンと聞かれなくなった。なぜか。その理由を証券会社関係者が明かす。
「かつて証券会社は顧客に株の売買を頻繁に行なわせ、その売買手数料で稼ぐことから“株屋”といわれてきましたが、いまや収益構造そのものが変わっています。売買手数料を主とした『フロー』型から顧客の預かり資産残高を増やすことで自社の収益を増やす『ストック』型へとビジネスモデルを転換させている。
特に、国が『貯蓄から投資へ』の流れを進めようとしてNISA(少額投資非課税制度)を始めた2014年ごろからその動きは加速しています。これは顧客にとっても株の売買をやたら勧められるよりは長期的な資産形成につながるとして期待されてきました」