銅価格が再び上昇し始めた。NY銅先物価格をみると8月18日の終値は1ポンド当たり2.938ドルで、5月8日の安値2.4725ドルと比べると、18.8%上昇している。
大きな時間の流れでみると、リーマン・ショックで価格が急落した後、V字回復し2011年前半は4.5ドルを超えるところまで上昇した。それから長い下落トレンドが続き、2016年1月には2ドルを切るところまで下落し、そこでようやく下げ止まった。その後、2016年11月に急騰したものの、上値の重い展開が続いていたが、ここにきて再び動意づいてきた。今後、上昇トレンドが出てくるのだろうか?
供給面を考えると、いくつか注目すべき点がある。原油はオイルシェール革命により、生産力が高まっている。しかし、銅については、こうした大きな技術進歩は見られない。また、過去8年間、巨額に膨れ上がった在庫を取り崩す動きが続いた。供給に関してはずっと需要を下回る状態が続いていて、すぐに生産能力を高めることは難しい。在庫減少が続きそうである。
グローバル経済、特に新興国経済が安定成長するのに伴い、銅の需要も伸びていくことが見込まれる。銅は電線の材料として使われる量が多く、電力の設備投資が高まると、銅の消費量も高まるといった相関がある。中国の電力供給網は農村地区まで一通り整備されており、電力不足が解消されて久しいが、インドではそうではない。インドの銅需要は中国の1割にも満たず、今後、大きく増えそうである。